Wednesday, October 15, 2014

仏陀の教えの原型 (3)

私の懸念は、「空」の智慧は自分の中だけでしか機能しないということです。他の人には効果がないかもしれないのです。強いエゴを持つ、智慧に到達していない人々は、自他を分離し続けるでしょう。

より具体的な質問をするなら、次のようになります。もし、あなたが幼児期に、エゴの強いご両親​​によって無条件に受け容れてもらえない場合、あなたはご両親に従うか、それともご両親から自分を脱出させるか?もし、あなたがご両親に従うならば、あなたの決心は「空」(又は、思いやり)に基づいており、自分を愛することができなくなります。その結果、自己愛が欠如するため、他に思いやりを実践できなくなります。あなたがご両親から自分を脱出させるならば、あなたの決心は無条件の自己愛に基づいており、自分を愛することができます。もちろん、あなたは自己愛を他に広げることができます。ですから、最終的にはあなたは他に思いやりを実践することができるのです。

「空」と「無条件の自己愛」の違いを示す一例として、1959年チベットにおけるダライ・ラマ法王の選択肢があります。もちろん、ダライ・ラマ法王は「空」の智慧をお持ちでした。しかし、中国共産党の指導者は「空」の智慧を持っていませんでした。もし、ダライ・ラマ法王が「空」(又は、思いやり)を選択していれば、チベットに居続けねばなりませんでした。しかし、法王は無条件の自己愛に基づき、チベットからの亡命を選択されました。

もし、あなたのエゴと誰かのエゴとの間で摩擦が発生した場合、ストレスが生じます。ですから、もしどちらか一方が自分のエゴを手放すならば、ストレスは生じません。しかしながら、もし相手がエゴを手放さない場合、問題は解決しません。双方がエゴを手放す場合にのみ、問題は解決するのです。

私の実体験については、http://plumvillage.org/news/unconditional-acceptance/ への投稿(ページの一番下​​)をご参照下さい。

Autumn in the valley, Switzerland Photo by Katarina Stefanović