Friday, November 27, 2015

幸せと苦しみの技術

次のティク・ナット・ハンのビデオを1:39:34~1:48:50迄ご覧ください。


引用:
念息経(十六念息)を学ぶと、優れた実践者になるには幸せと苦しみに対処する技術を学ぶ必要があることが分かります。それは技術です。瞑想は重労働ではありません。瞑想は術ですので、多くの巧みさを必要とします。もし、あなたが幸せの対処法を知らないなら、幸せはあっという間に何か他のものに変わってしまいます。あなたが経験する愛は、最初の頃はとても美しいです。そして、あなたはその愛なしでは、生存できないと信じます。しかし、あなたが愛に栄養を与える技術を知らないなら、その愛は死んでしまい、他の酸っぱいものに変わるでしょう。

仏陀は、「食料なしで生き残れるものはない」と言いました。 あなたの愛は食料が必要です。あなたは適切にあなたの愛を養う必要があります。あなたがマインドフルで、集中しているなら、あなたが今持っているもの、つまりあなたの愛を大切にするでしょう。私たちは非常に気をつかう必要があります。私たちは一緒にいる全ての瞬間を大切にする必要があります。私たちは自分の愛を養う方法を学ぶ必要があります。

誤って、私たちの愛が愛よりも小さい別物になったとしても、私たちは絶望してはいけません。愛が愛以外の要素からできていることを、私たちは知っているからです。蓮(幸せ)は泥(苦しみ)を含む、蓮以外の要素からできています。ですから、巧みさによって、私たちは再び蓮を育てるために、泥を十分に活用することができます。良い有機的な庭師は決してゴミを捨てることはありません。庭師は堆肥を作り、将来の花を養うためにゴミを保存する方法を知っています。

苦しみと幸せもまた、有機的な性質を持っています。たまたま、幸せが苦しみになったとしても、絶望しないようにしましょう​​。巧みさと実践で、私たちは苦しみを幸せへ変えて元に戻すことができます。私たちは蓮の花を創造するために、泥を十分に活用することができます。私たちは苦しみから学ぶべきです。すると、「苦しみから逃げようとしないで」と、苦しみが私たちを指導できます。仏陀の最初の教えは、不幸、つまり苦しみから始まる四聖諦に関するものです。もし、私たちが苦しみから逃げようとするなら、苦しみの性質を理解する機会を逃し、幸せを創造する方法を知ることができません。幸せを創造する方法を知るためには、私たちは苦しみ、つまり苦しみの本質を理解する必要があります。

それが、幸せに対処する技術がある理由であり、苦しみに対処する技術がある理由です。「苦しむ技術」は、私の次の本の題名であるべきです。私たちの僧侶よ、私に代わってそれを書いてください。確か、「幸せの技術」は既に、ダライ・ラマによって書かれていると思います。私たちはもう一つの本、「苦しみの技術」が必要です。あなたが苦しみ方を知っているなら、あまり苦しむことはありません。そして、幸せを創造するために、あなたは苦しみを十分に活用することができます。実際に、私たちは苦しみから多くのことを学びます。苦しみの理解が思いやりを発生させることを私たちは知っています。そして、思いやりは幸せの非常に重要な要素です。私たちに思いやりがなければ、私たちは幸せな人になることはできません。私たちは全く一人ぼっちで、切り離されてしまいます。他の生き物と関係することができません。ですから、思いやりは幸せのために極めて重要なのです。

思いやりが生じるようにするためには、私たちは苦しみの本質を掘り下げなければなりません。苦しみを理解することが、思いやりをもたらします。ですから、神の王国には苦しみがあるのです。苦しみの要素がなければ、理解と思いやりを生じさせる望みはありません。あなたが蓮を育てたいなら、泥が必要なのです。ですから、神の王国に苦しみがあるのは当然です。しかし、神の王国では、人々は苦しみを十分に活用する方法を知っていて、苦しみに自分を圧倒させたりはしません。そして、私たちは幸せを創造するために、苦しみを十分に活用する方法を学び実践することにより、王国を建設する作業に参加しなければなりません。そして、もし幸せが悪化したなら、私たちは苦しみを活用する実践によって、幸せを復元する方法を知っています。

「それがあるから、これがある。」これは仏陀の教えです。非常に単純ですが、非常に深い意味があります。「これがあるのは、それがあるから。(若此有必彼有)」それは、誕生があるなら、死もあるべきであることを意味します。右があるなら、左があります。存在があるなら、非存在があります。ですから、これら正反対の対は、常に同時に顕現します。これは一般的真理のレベルです。しかし、私たちがより深掘りすれば、一般的真理を超越し、生も死もなく、存在も非存在もないという、究極の真理を見つけ出すでしょう。

科学は同じ種類のことを実験していると私は思います。ニュートンに代表される古典科学は一般的真理のようなものです。それは適用できます。はい。しかし、量子力学に至ると、私たちは全く異なる物事の見方をします。時間、空間、物質、エネルギー、素粒子、波動。量子力学では、これらを異なる物とは見ません。これらは、正に同じ物です。ですから、科学者と仏教の実践者は、今世紀一緒に取り組み、お互いに助け合うことができます。
:引用おわり

(解説)
上記のティク・ナット・ハンの法話は、四聖諦と同様に、一般的真理(二元性)に基づいていることに注意する必要があります。

(参考)http://www.amazon.co.jp/dp/B012YZBHHS
http://compassion5151.blogspot.jp/2015/10/blog-post_28.html 

ティク・ナット・ハン