Sunday, June 26, 2016

条件付けられた心の対象と無条件の心の対象 (1)

以下は、プラム・ビレッジの四十教義の第一及び第二です。

(プラム・ビレッジの四十教義の第一教義
空間無条件の心の対象ではありません。空間は時間物質意識と共に顕現します。」
(空間は独立した存在ではなく、時間、物質、意識と相互依存して共同発生しています。)

(プラム・ビレッジの四十教義の第二教義
歴史的次元では、全ての心の対象条件付けられた心の対象です。究極の次元では、全ての心の対象無条件の心の対象です。」
(時間と空間のある現象界では、全ての現象は独立した存在ではなく、それ以外の全ての現象と相互依存して共同発生しています。時間と空間のない本体の世界では、一切の分離がなく全体性のみですので、全ての心の対象は条件付けられていません。)

(解説)
無条件の心の対象究極の次元(本体の世界)は、概念によって説明することはできません。そして、二種類の究極の真理があると私は理解しています。現象界における究極の真理(相互依存して共同発生)は、条件付けられています。本体の世界における究極の真理(非分離または全体性)は、全ての概念の絶滅によって条件付けられていません(無条件です)。どちらも非二元性ですが、その意味は異なります。前者の非二元性は分離(概念)に基づいていますが、後者の非二元性は非分離(全ての概念の絶滅)に基づいています。涅槃は、全ての概念の絶滅です。ですから、私たちが完全な悟りを開くためには、本体の世界における究極の真理を理解する必要があります。

この現象界には相対的な真理しかないので、全ての現象は条件付けられているというのが、最も簡単な説明でしょう。このことは、アルバート・アインシュタイン一般相対性理論によって科学的に証明されています。

現象界における一般的真理を加えるなら、三つの真理があることになります。現象界における一般的真理もまた条件付けられていますが、二元性に基づいています。以下は三つの真理の具体例です。
(1) 現象界における一般的真理:「あなたの苦しみを幸福へ変容してください」
(2) 現象界における究極の真理:「苦しみは幸福に他ありません」
(3) 本体の世界における究極の真理:「分離なくして、苦しみは不可能です」
もし、上記の三つの真理の違いを理解できないなら、「空」、即ち「般若心経」の真の意味を理解するチャンスはありません。

般若心経では、「無苦集滅道」苦しみはない、従って)苦しみの原因はない、苦しみの終わりはない、苦しみの終わりへ導く道はない)と記載されています。それが究極の次元(本体の世界)です。詳細については、次の「正見の土台」の中にある「仏陀の科学」についてのティク・ナット・ハンの法話を傾聴してください。
http://tnhaudio.org/tag/four-kinds-of-nutriments/page/2/
もし、本体の世界における究極の真理全体性)を理解していないなら、それは完全な悟り涅槃)を得ていないことの証明です。仏陀ティク・ナット・ハンは本体の世界における究極の真理(全体性)を理解していたと、私は確信しています。言い換えると、たとえ現象界における究極の真理を理解していたとしても、本体の世界における究極の真理を理解していないなら、アインシュタインの一般相対性理論は理解できても、デヴィッド・ボームの内在的秩序と外在的秩序の理論を理解することはできないということです。

究極の次元、即ち本体の世界においては、全ての概念の絶滅によって分離は一切ありません。ですから、究極の次元、即ち全体性においては、苦しみは不可能なのです。それが涅槃です。

(参考)http://www.slideshare.net/compassion5151/ss-62010528
http://www.slideshare.net/compassion5151/3-46874436

ティク・ナット・ハンと弟子