Sunday, February 12, 2017

十六念息(要点4)

「十六念息」の要点は以下の通りです。(原文と解説は次のURLをご参照ください。) http://compassion5151.blogspot.jp/2015/10/blog-post_28.html
http://compassion5151.blogspot.jp/2016/04/blog-post_26.html

実習13-16: 知覚
(13-14): 無常と渇望
実習13-16は、完全な悟りを開くための実習であり、非常に深い観察を要します。その前に理解しておかなければならないことは、この世界は私たちの心の対象であり、心の投影ですから、私たちの心そのものであることです。つまり、私たちの心を投影したものが、この世界なのです。心の対象知覚の対象であり、知覚の対象は知覚(頭の中の概念の連続)ですから、知覚がこの世界です。換言すれば、知覚されている対象は知覚者であるということです。量子物理学者のデビッド・ボームは、「私たちの見方は、私たちの考え方に依存する」と言いましたが、上記の仏陀の指摘と一致します。

実習13は、全ての心の対象の無常(「空」の時間的側面)の本質を深く観察します。全てのものは変化していますので、全ての心の対象無常の本質が観えます。そして、全ての心の対象は私たちの心(知覚)の投影ですから、全ての知覚の無常の本質を観ます。従って、私たちの心の対象であるこの世界は私たちの知覚そのものであり、無常の本質を有するのです。実習14は、渇望(否定的な欲望)の消滅を深く観察します。そして、考え(アイデア)の消滅を深く観察します。つまり私たちの渇望は単なる考えでしかなく、時間が経過すると消滅してしまうのです。

(15-16): 無我と涅槃
実習15は、全ての現象の不生不死の本質を深く観察します。不生不死とは、生まれることも死ぬこともないという意味です。全てのもの(人間、動物、植物、鉱物)は形を変えながら継続している(生き続けている)だけですので、死にませんから生まれることはできませんし、生まれませんから死ぬこともできないのです。そして、全てのものはその他全てのものからできていることを観ます。つまり、その他全てのものは全てのものの中にあります。従って、全てのものはその他全てのものであるということです。これは、独立して存在できるものは何もないという無我(「空」の空間的側面、相互依存)の本質を観ているのであり、究極の真理です

実習16は、全ての概念(全てのもの)を手放しているを深く観察します。全ての概念の絶滅が涅槃です。全ての概念は人間のエゴ(独立した自己、自性自己、偽りの自分)がでっち上げたものであり、全て誤りであることを確信していますので、全ての概念を投げ捨てることは簡単です。全ての概念が絶滅すれば、考える対象が無い訳ですから完全に非思考となり、一日24時間目覚めた意識(独立していない自己、無自性自己、本当の自分)のままで、常に洞察を得ることが可能になります。洞察とは、何の努力もすることなく(何も考えなくても)、穏やかな心が外部の現実を静水(鏡)の如く映し出し透明な心が内面の現実を見透すことを意味します。これが完全な悟りを開いたということであり、完全に目覚めたということです。

(おわり)

(参考)https://www.youtube.com/watch?v=7eSuUDzwAWs
http://www.amazon.co.jp/dp/B012YZBHHS

ティク・ナット・ハンの書