Friday, February 6, 2015

主体と客体

客体は主体の創造物です。知覚する人が知覚されるものを創造します。ですから、主体と客体は相互に依存し合って共同で生じています。主体と客体はコインの両面です。私たちが対象を知覚する時、対象は私たちの心に応じて異なって知覚され得ます。これは精神投影と呼ばれています。もし、対象への執着があると、私たちは対象をポジティブに知覚します。もし、対象への怒りがあれば、私たちは対象をネガティブに知覚します。それ故に、同一対象への知覚であっても心の状態に応じて人によって異なるのです。全ての知覚は幻想ですので、誤った知覚です。正しい知覚とは、全ての知覚の欠如のことです。なぜなら、私たちは幻想なしに現実を見ることができるからです。

どのようにしたら全ての知覚を捨て去ることができるでしょうか?穏やかな心を持つためには、思考を停止する必要があります。全ての言葉、概念、アイデア、思考、信念、見方等は、分離または差別を引き起こしますので、穏やかな心の障害です。非分離、即ち包括性のためにそれら全てを燃やし尽くす必要があります。そのためには、自分自身をエゴ(自性自己)から本当の自分(無自性自己)へ変容する必要があります。本当の自分(無自性自己)は無条件に分け隔てなく、全てを受け容れることができます。例えば、呼吸や歩行や笑顔のためには対象(客体)は必要ありません。ですから、全ての知覚の絶滅は、呼吸や歩行や笑顔に集中することによって可能です。静水は穏やかで平和ですので、周囲をそのまま映すことができるのです。

Still water, Norway Photo by Zsolt Kiss